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世界の臓器移植の歴史

世界の心臓移植の歴史

心臓移植の考えがいつから出てきたかと言えばほぼ100年前に遡る。血管吻合法の開発で後にノーベル賞をもらったAlexis Carrelが1905年に子犬の心臓を成犬の頸部に血管吻合して移植する実験を行ったのが最初である。

臨床的な試みは1964年にHardyがチンパンジーの心臓を大人の患者に移植を試みている。当時すでに犬での同所性心臓移植がスタンフォード大学グループで実現していた。

ヒトでの心臓移植は1967年12月、南ア連邦でChristian Barnardが行ったのが最初である。この第1例のドナーは交通事故の女性で、心停止後に、人工心肺装置にのせて心臓の摘出を行っている。この症例は18日間しか生存しませんでしたが、南アでの第2例は500日以上長期に生存した。

Barnardに先を越された感じのStanford 大学ではその指導者であるNorman Shumwayが翌年に第4例目で実施している。その年には世界で堰を切ったように心臓移植が行われ、その数はほぼ100例に達した。その中に、日本での札幌医科大学和田教授による1例が含まれている。

華々しく始まった心臓移植だが、免疫抑制療法がまだ十分に開発されておらず、成績は期待されたものとはほど遠く、ほとんどの施設が中断していった。その中で、Stanford 大学グループが臨床を継続し、着実に成果を上げていった。

心臓移植が世界で広まったのは1980年代初頭に免疫抑制剤であるシクロスポリンが登場したからであった。成績が良好になったため再び世界で急速に進歩し、1990年代半ばには世界で年間4400例まで増加している。その後も、1年間に4500-5000例が施行されている

国際心肺移植学会のレジストリ報告では、適応は特発性心筋症と虚血性心筋症で全体の90%を占め、虚血性が特発性にくらべやや多い。成績では、1,5,10年生存率がそれぞれ、約80%、70%、そして50%であり、最近では、成人では5年生存率が75%に向上している。アジアでは、タイ、台湾、韓国で実績が挙げられていて、それぞれの国でこれまで数百例以上行われている。

バーナードが行った3日後の12月6日、カントロヴィッツ(Kantrowitz)が第2例目をニューヨークの施設で、また68年1月2日には再度バーナードが、1月6日にはスタンフォード大学のシャムウェイ(Shumway)が心臓移植を行っている。この他、クーリー(Cooley)が行ったヒューストンでの心臓移植は、1年以上の生存を得て当時大変注目されている。

 

世界の心臓移植のパイオニアのインタビュー(ISHLT home pageより)

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