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日本の臓器移植

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心臓移植のまとめ

 

  心臓移植の現状20140731現在

 

    心臓移植の現状20141231現在

 

 

  心臓移植の現状20151231現在

 

  The Registry Report of Heart Transplantation in Japan (1999-2013)  Circulation Journal

 

  The Registry Report of Heart Transplantation in Japan (1999-2014)  Circulation Journal

 





 

これまでの移植症例

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国内の心臓移植の現状(2015年12月31日現在)

 

1.概 況

  • 心臓移植は、現存するいかなる内科的・外科的治療を施しても治療できない末期的心不全患者に対して、脳死となったドナーから摘出した心臓を移植することにより、患者の救命、延命、およびクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を改善することを主たる目的として行われます。

 

  • 現在、国内で心臓移植実施施設(11歳以上の患者)として認定されている施設は、国立循環器病センター、大阪大学、東京大学、東北大学、九州大学、東京女子医科大学、埼玉医科大学、北海道大学、岡山大学の9施設です(201512月31日現在)

 

  • 法改正に伴い、身体の小さな小児(10歳未満:10歳以上はこれまでも成人のドナーからの心臓の提供が可能)の心臓移植が国内でも実施できるようになりました。10歳以下の小児の心臓移植を実施してもいい施設は、国立循環器病センター、大阪大学、東京大学、東京女子医科大学の4施設です(201512月31現在)。

 

  • 改正臓器移植法施行後、脳死臓器提供が増加したことに伴い、心臓移植の実施数も増加し、2015年は44件でした

 

 

脳死臓器提供件数20151231.JPG心臓移植件数20151231.JPG 

  • 心臓移植希望者の日本臓器移植ネットワークへの登録は、「臓器移植に関する法律」が施行された199710月から開始されました。1999228日に1例目が大阪大学で実施されてから、16年が過ぎ、201512月末までに266人の心臓移植が実施され(国立循環器病センター74人、大阪大学73人、東京大学66人、東京女子医科大学19人、九州大学13人、東北大学12人、埼玉医科大学5人、北海道大学3岡山大学1)、すべての認定施設で心臓移植が実施されたことになります

 

  • 改正後の特徴として、東京大学の心臓移植件数の増加があげられます。

     

実施施設 20151231.JPG

 

国内の小児脳死臓器提供と小児心臓移植の現況

  • 法改正により15歳未満の方からの脳死臓器提供ができるようになりましたので、児童(18歳未満)の方から臓器提供が行われる際の、レシピエントの選択基準が決められました。臓器毎に選定基準がちがいます(下記)が、心臓では日本臓器移植ネットワークに登録された時の年齢が18歳未満の小児が優先されることになりました。

 

  • 18歳未満のドナーが現れた時に限り、18歳未満のstatus 1の小児が候補者にいなかった場合、医学的緊急度(status)の基準を超えて、status 1の成人より、status 2の小児(18歳未満に登録された患者)を優先することになりました。

 

  • 心臓    ・登録時18歳未満の小児優先 、血液型一致、適合の順で、医学的緊急度status 1、2の順でで選択する
  • 肺     ・18歳未満のドナー・レシピエントは身長で肺活量を推定
  • 肝臓    ・選定時18歳未満の小児に1点加点
  • 腎臓    ・児童からの優先ルールはないが、16歳未満、20歳未満に加点あり

 

  • その結果、法改正後、18歳未満の方からの臓器提供が2015年12月31日までに12件あり、10名の児童(18歳未満に登録)が心臓移植を受けることができました。

 

  • 2012年6月15日に、6歳未満小児の心臓移植が行われ、2014年11月24日に小児用補助人工心臓EXCOR(いわゆるBerlin Heart)を装着した6歳未満小児の心臓移植が行われました。

 

  • 2015年末現在、国内において、成人ドナー8人、小児ドナー10人から、18 人(女児7人、男児11人)の小児が心臓移植を受けています(20151231日現在)。17名の小児(18歳未満)が国内で心臓移植を受けています。

 

HTX20151231 小児心臓移植件数.JPG

 

  • 原疾患は、拡張型心筋症14人、拡張型・拘束型心筋症(合併)1人、拘束型心筋症1人、拡張相肥大型心筋症1人、心筋炎後心筋症1人で、男児11人でした。

 

HTX20151231 小児心臓移植 原疾患.JPG

  • 国内で心臓移植を受けた18人中、13人で移植前に補助人工心臓(VAD)が装着され、4人がカテコラミン投与、1人が医学的緊急度2(入院待機)でした。

 

  • 装着されたVADは、体格の小さな小児では、最近では、以前はニプロVADを装着していた患者さんがほとんど(8人)でしたが、EXCORが使用できるようになってからはEXCORが多くなりました(2人)。

 

  • 一方、体格の大きな小児では、成人と同様、植込み型VADが装着されていました(EVAHEART 1人、Jarvik2000 1人、HVADの両心VAD 1人)。

 

HTX20151231 小児心臓移植 移植前状況.JPG

 

  • 18人の待機期間は134-1764日(平均633日)、補助人工心臓装着期間は45-1165日(平均679日)でした。

  • 1人が移植後11年目に腎不全で死亡されましたが、他の17人は生存中です。

 

海外渡航小児心臓移植の現況

  • 国内での心臓移植が非常に困難な10 歳未満の小児を含め、111が1984 年から2015年6月末までに海外で心臓移植を受けています。男女ほぼ同数で、移植時の平均年齢は8.0歳でした。移植を必要とした疾患の大半は拡張型心筋症(70名)でしたが、拘束型心筋症(27名)が多いのが特徴です

 

  • 拘束型心筋症は、左心室が小さいために補助人工心臓を装着することが出来ず、また、病態から肺高血圧・肝腎機能障害に陥りやすいため、医学的緊急度が1度でないと国内では心臓移植が受けられない現状では、海外で心臓移植を受けなければならない状況です。

 

 小児心臓移植 20160630 海外 疾患.JPG

 

 

  • 海外で心臓移植を受けた小児(70人)の多くが機械的循環補助のない状況で移植を受けていますが、36人が左心補助人工心臓(LVAD)を、5人がECMO(体外式膜型人工肺装置)を装着後に移植になっています

 

小児心臓移植 20160630 海外 移植前の状態.JPG

 

 

 

 

2.年間移植件

世界の心臓移植件数

  •  国際心肺移植学会の統計によると、全世界で1982年から20126月末までに計111,068件の心臓移植(年間約4,000件)が行われています。アジア各国でも多くの心臓移植が行われており、2015年末までに台湾で1,362件(2004年を含まず)、韓国で1,161件の心臓移植が行われています

 

 

  • 特に韓国では2000年に臓器移植法が制定された後、一時的に心臓移植数は減少しましたが、2005年に法が改正され、2011年に韓国臓器斡旋機関(KODA)が発足してから脳死臓器提供が増加しました。2015年の脳死臓器提供は韓国501件、台湾264件(日本58)で、2015年には韓国で145件、台湾で75件の心臓移植が行われています

 

 

 

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

韓国

31

30

34

14

21

11

15

23

26

29

50

84

65

73

98

107

127

118

145

台湾

66

54

41

43

52

28

68

87

72

74

84

90

81

89

76

77

80

75


 

  • 2009 年の人口100 万人あたりの心臓移植実施数を比較すると、アメリカやヨーロッパ各国が5-6 人であるのに対し、日本は0.05 人でした。台湾(3.7人)、韓国(1.3人:2010年2.0人)と比較しても、いかに少ない件数であったか分かると思います。法改正後、国内の心臓実施率も増加しましたが、2014年は37件でしたので、0.32人にしか至っていません。

 

心臓移植 海外との比較.jpg

 

  • 旧臓器移植法が施行され、心臓移植の治療効果が一般国民に知られようになったにもかかわらず、脳死臓器提供が伸び悩んだ結果、旧法成立後却って海外渡航をうけた患者は増えています。国内で心臓移植の受けられなかった10 歳未満の小児に限らず、国内で心臓移植可能な、体の大きな小児や成人の方が海外で心臓移植を受けています。

 

  • しかし、2008年5 月にイスタンブール宣言(自国内で死体臓器提供を増やしなさいと言う宣言)が出され、ヨーロッパ、オーストラリアなどが日本人の受け入れを制限した影響もあって、2009年をピークに海外渡航心臓移植件数は減少していました

 

  • しかし、EXCORの登場で乳幼児期に心不全に陥った小児が救命され、海外渡航が可能になったため、2014年から増加傾向にあります

 

 

小児心臓移植 20160630 海外渡航移植.JPG

  •  

日本での心臓移植件数

  • 一方、国内での心臓移植件数が増加し、2013年2月には、ついに国内で心臓移植を受けた人数が、海外で受けた人数を追い越しました。

 

国内と海外渡航移植.JPG

  • 国内で心臓移植を受けた人は全て、移植直前の医学的状態の緊急度が非常に高いstatus 1の患者さんで、266例のうち246人(92.5%)に補助人工心臓(LVAS)が装着されていました。それに対し、米国では年間約2,200 件の心臓移植が行われていますが、status 1 の患者さんはその62%で、補助人工心臓を装着されている患者さんは45%でした。

 

  • 国内で心臓移植を受けた人の待機期間は、平均1029日(29~4,751日)で、status 1 での待機期間は平均898日(29~1,707日)、機械的補助期間(補助人工心臓の装着期間)は平均920 日(20 日~1,738日)でした。米国のstatus 1 の患者さんの待機期間56 日と機械的補助期間50 日に比較して、極めて長いのが特徴です。

 

  • 長らく、体外式の補助人工心臓しか、国内で保険適用されているものはありませんでしたが、2010 年12 月8 日にEVA Heart とDura Heart が薬事承認され、保険で4 月1 日から使用できることになりました。その結果、最近ではほとんどの症例が埋め込み型LVADになってきています

 

HTX20151231 心臓移植 移植前状況.JPG

  • その結果、改正前は体外式が42件と60%以上を占めていましたが、改正法施行後には63件(32%)になりました。

 

  • 改正法が施行され心臓移植実施件数は増加し、status 1待機期間が短縮しましたが、その後、心臓移植を希望して登録する患者が急増したため、2015年には待機期間が逆に増加しています。

 

HTX20151231 心臓移植 待機日数.JPG

4.移植待機者数

  • 様々な研究結果から、国内の心臓移植適応患者数は年間228~670 人であると推定されています。

 

  • UNOS(全米臓器分配ネットワーク)の1999 年の資料から心筋症で移植を希望した患者数を計算すると3,245 人となり、人口当たりの患者数で換算すると、日本で心臓移植が必要な人は約1,600 人いることになります。

 

  • 心臓移植の再開に伴い心臓移植希望の待機患者数は次第に増加し、2016年4月30 日までに1,125人が心臓移植候補として登録されました。原疾患の90%以上は拡張型心筋症あるいは拡張相肥大型心筋症です。そのうち、国内で280 人に心臓移植(この他に2例心肺同時移植)が行われましたが、55人は渡航移植し、277人は待機中に亡くなっています。

 

  • 改正法施行後心臓移植件数は増加したため、一旦待機患者数が170人くらいに一定化(プラトー)に達したように思われましたが、新規登録患者が急増しており、待機患者数2011年後半から再び増加傾向にあり、2016年4月末現在の登録患者は493人になりました。

 

  • 同時にLVADの成績が向上してきたため、現在の心臓移植・新規登録患者の推移とLVADの成績の向上を加味して推測すると、LVAD装着後の待機期間が7年以上になると予想している報告も出てきています

 

HTX20151231 心臓移植 登録vs移植.JPG

5.待機中の死亡者数

  • 心臓移植が必要と考えられている、β遮断剤、ACE 阻害剤などの薬剤に抵抗性の心不全患者さんの予後は不良で、1 年生存率は50%前後しかありません(つまり1 年以内に半数の患者さんが死亡します)。

 

  • 先に述べた新規患者数から計算すると、心臓移植の適応がありながら亡くなっている人が毎年228 人から670 人いると推定されます。

 

  • 2016年4 月30 日までの登録待機患者1,125人の中で、277 人が亡くなっています。

 

6.移植成績

 

  • 国内で2015年12 月31 日までに心臓移植を受けた266人のうち、これまでに16人が死亡されましたが、残りの206 人は生存し、2016年3月末時点で1人以外は外来通院しています。

 

HTX20151231 心臓移植 免疫抑制など.JPG

  • 生存率は5 年93.3%、10年91.6%、15年83.2%です。

 

HTX20151231 心臓移植 生存率.JPG

 

  • 改正施行後、ドナーの方の年齢が上がったこと、ドナーの方の死因が頭部外傷やくも膜下出血以外の全身性疾患が増えたことなどから、有意差はありませんが、やや心臓移植後の生存率の低下がみられていて、現在その原因を調べているところです

 

年齢別推移.JPG

  • また、3年前に心臓移植を受ける年齢条件を60歳から65歳まで引き上げたので、心臓移植時の年齢別の生存率を調査したところ、55歳以上で移植を受けた方の生存率が、他の年齢の方の死亡率より有意に悪いことが分かっています。そのため、更に年齢条件を緩和することについて、2015年の段階では見送られることになりました

 

年齢別生存率.JPGのサムネイル画像





 

 

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